アメリカの金持ちがよくやる節税

アメリカで富裕層がよくやる節税

今回は節税について。法人税ではなく、個人所得税です。

私の職業上、アメリカの税制については詳しいです。

※でも、日本の税制についてはほぼ素人。

今回は、「アメリカではこんな節税方法があるんだな〜」くらいに思ってもらえればいいかと思います。

雑談のネタとして、「そういえばアメリカではこんな節税方法があるんだよ〜」なんて語れるようになることを想定しています。

 

日本もアメリカも所得が高額になると、びっくりするほど税金を納めることになります。

アメリカの場合、1億円以上の収入があると、住んでいる州によっては50%ほど税金を支払うことになる場合もあります。

おそらく日本も同じくらいか、もしかしたらもう少し低いかもしれません。

 

アメリカの税法は厳しいので、「ずる賢い節税」というのは出来ません。

議会で合法化されたスキームで節税するしか選択肢はありません。

※たまに税務弁護士あたりがウルトラCで節税スキームを「発明」します。でもすぐにそうした節税方法はBANされちゃいます。例えばApple社がやっていたダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ。

 

今回紹介するものは、資産家にとってはかなり一般的です。

からくり、なんてものはなく、非常にシンプルなものです。

この節税方法が効いてくるのはかなりまとまった資産がある納税者のみになるので、そうでない人にとっては「へー」程度の感想しか抱かないかもしれません。

しかし、この方法がきれいに決まると年収1千万円(約10万ドル)であっても、税額ゼロとなります。とても強力な節税方法です。

 

さて、アメリカの金持ちはどうやって節税するのでしょう。

すべての所得を居住する州の地方債の利子(クーポン)で得る

色々解説が必要なので、順を追って説明していきましょう。

アメリカの所得税の仕組み(連邦税と州税)

まずは、アメリカの所得税の仕組みをおおまかに知っておきましょう。

難しいことを知る必要はありません。下記だけ頭に入れておきましょう。

アメリカには二種類の所得税がある。連邦税と州税。
  • 連邦税とは、連邦政府が課す所得税。最高税率は37%程度。
  • 州税とは、州政府が課す所得税。最高税率は13%程度。

 (2018年7月現在)

 

アメリカ50州のうち、どこに居住するかでどの州から税金を課されるが決まります。

場合によっては居住州以外からも課税されますが、今回は気にしません。

カリフォルニア州に住んでいる場合、州税の高いカリフォルニア州政府から課税されます。

州税とともに連邦税もあります。連邦税は、日本の国税のようなもので、連邦政府から課税されます。

 

居住州の地方債は免税

地方債(Municipality Bonds)とは、州や群、市の行政レベルで発行される債権です。

日本にもありますね。

※国債(Treasury Bond)は連邦政府が発行する債権。

地方債を発行し、お金を調達した行政は、道路や学校、港湾設備等々色んな公共事業にそのお金を使います。

 

個人が地方債を購入すると利子(クーポン)がもらえます。

この利子所得は、ほとんどの場合連邦税が免除されます。

また、居住する州の地方債であれば、州税も免除される場合がほとんどです。

結果、自分の住む州の地方債からの利子所得には税金がいっさいかからないことになります。

 

地方債のクーポン率は年2〜3%が一般的です。

例えば、1億円(約100万米ドル)を自分の住む地域の地方債で運用すると300万円(約3万米ドル)の利子所得が得られる上に無税です。

地方債以外で運用し、300万円の所得に税が課せられると、連邦税と州税合わせて10〜30%はお国に持っていかれれます。

300万円だと家族持ちでは少し物足りないかもしれません。

では、さらにシミュレーションしてみましょう。

3億円を地方債で運用してみます。

<元本3億円>
3億円x3%=900万円の利子所得
しかも無税!
普通に汗水たらして働いで稼いだ勤労所得900万円の場合、連邦税と州税合わせて270万円程度は持っていかれていることでしょう。

 

<元本10億円>
10億円x3%=3,000万円の利子所得
しかも無税!
普通に稼いだ勤労所得3,000万円の場合、1,200万円程度はお国に召し上げられているでしょう…

「金持ちになって利子で暮らす」とは正にこのことですね。

900万円とか3,000万円っていう単位、家族ひとつ養うには十分でしょう。

このようにして、資産があまっている?金持ちは自分が居住する地方債を購入してたっぷり節税することができるのです。

事業で成功したおじいちゃんがトラストで資産を管理してて、運用先が地方債、とかってよくあるんでしょうね。

免税はズルくない

金持ちなのに税金を払っていなくてけしからん!と思う人はいるでしょう。

資産から稼ぐ不労所得は無税で、汗水たらして稼いだ勤労所得には時には半分税金が課せられる。

不公平だ!ズルい!金持ちはもっと社会に富を還元しろ、と思ってしまいますが、案外そうした考えは間違っています。

 

税金と債権の使いみちはほぼ同じです。

両者とも地域の公共事業がその使途になります。道路、学校、港湾、公衆衛生、警察など。

地方債を10億円買った金持ちは、地域の行政に10億円を投資したことと同義です。

すごいインパクトですね。

このような理由から地方債から得た利子所得への課税は免除されています。

居住州以外の地方債から得る利子所得は、自分の住む州では免税にならないことに注意です。たとえばカリフォルニア州住民がニューヨークの地方債から利子所得300万円を得たとします。この300万円に対してカリフォルニア州は課税してきます。免税になるのはあくまで居住州の地方債のみ。

 

まとめ

金持ちはどんどん金持ちになるの法則

アメリカの金持ちは、居住する州の地方債を買い、その利子所得をまるまる免税してもらっている、ということを見てきました。

この技は普通の人は使えません。地方債100万円分買ったところで知れてます。

上の例でわかる通り10億円の資産があれば3000万円の利子所得が手に入ります。

しかも無税!(しつこい)

金持ちってのはどんどん金持ちになっていくんですね。

金持ち父さん貧乏父さんの世界です。

不労所得の税金が低い理由

最後にちょっと脱線。

利子所得や配当所得などのいわゆる「不労所得」は、無税だったり低税率であることが多いです。

これは金持ちを優遇している訳ではありません。

利子や配当ってのは、たいがいすでに一度課税されたお金である場合がほとんどです。

どういうことか。配当所得で考えると一番分かりやすいでしょう。

配当ってのは会社が得た利益の残りが株主に分配されたものです。

会社が利益を出した場合、法人所得税が課せられます。

配当は、この法人税を支払った後の残りカスです。

すでに法人税でしこたま(その法人が)税金を払ったのに、配当所得に対しても課税された場合、いったいいくらの税金を取ってくねん!ということになります。

何度も同じお金に課税することを二重課税と言い、政府としては「さすがに二重課税は鬼なので自粛します」という風潮が先進諸国では一般的です。

そのため個人が得た配当にたいする税率はアメリカでは約20%となっており、勤労所得の最高税率と比べかなり低く設定されています。

 

お金持ちってのはビジネスで財を成した方がほとんどでしょうから、お金持ちが税金を支払ってない、というのは多くの場合誤りです。

だいたい法人のレベルで税金いっぱい払ってるでしょうから。