米国税理士(EA)とは

EAとはEnrolled Agentの略です。米国の税理士のことです。
日本の税理士同様、税務についての専門家資格です。

米国歳入庁(IRS)が実施するEA試験を全てパスするか、IRSに一定期間勤務すると付与されます。この辺は日本の税理士資格と同様ですね。

IRSは他にもいくつかの資格を用意していますが、EA登録すれば全ての代理業務が可能になります。

しかし、Tax Courtと呼ばれる税務裁判での弁護行為はできません。これはAttorney(弁護士)資格が必要です。

米国税理士(EA)の仕事内容

EAの主な仕事は下記になります。

・確定申告書作成
・IRSの税務調査の対応 
・IRSからの通知対応

米国税理士の仕事の90%が確定申告書の作成です。法人、個人、パートナーシップ、信託、遺産が主な納税者タイプです。

アメリカの会計事務所だと、法人と個人の申告書作成がほとんどですね。

IRSが税務監査に入ることは稀ですが、もちろん税理士が対応します。

税務調査までは行かずとも、IRSから通知(手紙)で連絡がくる場合があります。足りない資料を出せ、や申告書をIRS側で調整した等など。こうした通知対応もEAの仕事です。

アメリカの税法は大統領が変わるたびに刷新されるので、米国税理士は常に情報をアップデートし続けながら、こうした業務をこなしています。

ちなみに米国公認会計士(USCPA)は、EAの独占業務をほぼ全てこなせます。日本の公認会計士が無試験で税理士登録できるのと似たようなものです。

米国税理士(EA)ってどんな人たち?

EA資格で仕事している人は、小さめの会計事務所に多い印象です。BIG4(PwC, KPMG, Deloitte, EY)と呼ばれるような大きなファームでは、USCPAが税務を担当しているケースがほとんどでしょう。

BIG4でのEAの地位は二級市民です。新卒が1年目に資格を取るとボーナスが貰えますが、その金額からEAの扱いが伺えます。

新卒の資格取得ボーナス
弁護士:5000ドル
USCPA:3000ドル
EA:1000ドルw

とはいえ、あくまで資格です。USCPAがあるから仕事ができる、EAだから仕事ができない、という認識には全くなりません。

私が出会ったKPMGのシニアマネージャーは、名刺にEAとのみ記載されていましたが、とても仕事ができる人でした。(仕事をしすぎて体を壊し業界を去りましたが…)

2019年時点での米国税理士の登録者数は53,000人です。日本の税理士登録者数は78,000なので、一回り人数が少ないですね。

アメリカは一定以上の所得のある国民全員が個人確定申告をしなければいけないので、税理士の需要は日本よりもあると思います。

USCPAが税務をゴリゴリやるので、EAの人数が低くても、旺盛な需要をさばけるのでしょう。USCPAの登録者数は65万人以上です。

日本で米国税理士の認知はほぼゼロですが、都内にあるBIG4や国際税務に強い税理士法人には資格保持者がいるかもしれません。

私はいくつかの理由で日本いる方にこそ米国税理士になることをおすすめしています。(米国税理士になるメリットはあまり無い?

米国税理士(EA)試験とは

米国税理士になるには、3つの試験をパスしなければいけません。

Part 1 個人税務
Part 2 法人税務
Part 3 税務代理業務および諸手続き

各パート100問で構成されます。全問4択です。

USCPA試験のように、文章作成やSimulation問題は無いので、難易度は高くありません。

各パートの合格率は、Part 1は75%、Part 2は60%、Part 3にいたっては90%と言われています。全パートを合格する確率は約40%です。USCPAの全科目合格率の6%と比べるとその難易度が伺いしれます。

米国の会計事務所で税務を行っている私がEA試験3科目をパスするのに40日程度かかりました。時間にすると約120時間。

米国税務に携わらない人で英語のリーディングが得意でない場合は、250時間程度は見積もっていた方が良いかもしれません。

米国税理士の試験に合格するための時間は短い?調べてみた

USCPA試験の勉強量が500〜1000時間と考えると、EA試験の負担の軽さが分かります。

アメリカの自動車運転免許試験もそうなのですが、基本的には受からせるための試験です。

日本の税理士試験のように試験をパスすることが大目的なのではなく、最低限の知識と法律を頭に入れたら実務で付加価値ガンガン出して行こうぜ、というスタンスがアメリカです。

Enrolled Agentを名乗るためには試験をパスするだけではいけません。試験をパスした後にForm 23というIRSの書類を提出します。この時$30も支払います。

2ヶ月程度で登録が完了するはずですので、そうすれば晴れて米国税理士です。

米国税理士(EA)ってどれくらい稼げるの?

米国税理士になるといくら稼げるでしょうか。当然各個人の能力による、ということに尽きますが、無理やり予想してみましょう。

BIG4に勤めると大体下のような所得の軌跡を描いていきます。

1〜3年目 500〜700万円 
4〜6年目 700〜900万円 
7〜9年目 900〜1100万円 
10〜12年目 1100〜1500万円
13年目 1500万円〜

さて、上述の通りEAは小さめのファームで働いていたり、小中規模向けのクライアントを要するファームが多いです。ざっくり7掛けが相場でしょうか。

1〜3年目 350〜500万円 
4〜6年目 500〜630万円 
7〜9年目 630〜770万円 
10〜12年目 770〜1000万円
13年目 1000万円〜

特に統計を参照して出した数字ではないです。ただ、そんなに外れてない気がしています…。

なおEA資格であっても、BIG4に勤務している場合は1番目の給与水準になります。